窓辺は部屋の雰囲気を大きく左右する重要な空間です。カーテンに比べ、まだまだ馴染みの少ないロールスクリーンですが、意匠性や機能性の高さから注目されている窓アイテムです。
しかし、ロールスクリーンの選び方には、カーテンとは異なる独特のコツがあります。使用環境や目的に合わせて最適なスクリーンを選ばないと、せっかくの機能性も台無しになってしまうかもしれません。
そこで今回は、ロールスクリーンの基礎知識から選び方のコツまで、窓辺をより快適にするためのヒントをご紹介します。自分の家にぴったりのロールスクリーンを見つけましょう。
ロールスクリーンの基礎知識
・我が家にぴったりのロールスクリーンとは?
カーテンと比べて、スタイリッシュでスッキリとした印象を与えてくれるロールスクリーン。窓辺をシンプルにさせたい方や、モダンなインテリアがお好みの方に人気です。
しかし、一口にロールスクリーンと言っても、素材や機能、デザインは実にさまざま。快適で長持ちさせるためには、日射条件、温度、湿度、窓の向き、昇降頻度などの環境要因も考慮して、適切なロールスクリーンを選ぶことが大切です。
・どのような経年劣化が起こるのか?
どのような製品でも経年劣化は避けられないものですが、ロールスクリーンの場合、どのような経年劣化が起こるのか、知っておくのも買い替えや生地交換の目安になるのではないでしょうか。そこで、主にロールスクリーンで発生する経年劣化による外観の変化を3つ、ご説明します。
【カール】
スクリーンの端が内側に巻き込むように曲がってしまう現象です。 例えば、本の紙が湿気で端が丸まるようなイメージです。スクリーンを下ろした時に、両端が窓枠から離れて内側に曲がっているような状態になり、光漏れや見た目の悪さの原因になります。
【フレア】
スクリーンに波打ちやたるみが生じる現象です。 例えば、シーツにしわができたような状態をイメージしてください。スクリーンの表面がなめらかではなく、波打ったようになり、見た目が悪くなるだけでなく、昇降を繰り返すうちに巻きジワや巻きズレが発生しやすくなります。
【キャンバー】
スクリーンの下部(ボトム部分)が内側に湾曲してしまう現象です。 例えば、バナナのような緩やかな曲がり方をイメージしてください。スクリーンを下ろした時に、下部が窓ガラスから離れて内側に反っているような状態になり、光漏れや遮光性能の低下や、巻きズレの原因になります。
これらの劣化現象は、素材選びや環境(温度、湿度、日射し等)に応じた使用方法によってある程度防ぐことができるため、ロールスクリーンを選ぶ際には注意が必要です。
ロールスクリーン選びで失敗しないためのポイント
・日射条件や温湿度を考慮して選ぶ
取り付け場所の環境を考慮することが重要です。ロールスクリーンは使用環境によって経年劣化の速度が変わります。いくつかの窓環境を例に挙げてみます。
【直射日光が当たる南西向きの窓】
紫外線によるスクリーンの劣化が早くなります。カールヤフレアが起こりやすく、耐光性の高いガラス繊維素材やコーティング加工されたスクリーンがおすすめです。
【結露しやすい窓】
湿気によるカールやフレア、カビの発生やシミ、汚れが付着しやすいので、撥水性や防汚性に優れたスクリーンがおすすめです。水滴を弾いて汚れを防いでくれます。
【昼夜の寒暖差が激しい窓】
温度変化によるスクリーンの伸縮でカールやキャンバーが起こりやすくなります。温度変化に強い合成繊維や、表面に凹凸がないもの、表裏のバランスが取れたスクリーンがおすすめです。
【高温多湿な環境】
浴室、キッチンなど高温多湿になる環境は、湿気やカビ、サビの発生リスクが高いので、耐水性・耐湿性に優れた合成繊維スクリーンがおすすめです。天然繊維は湿気に弱く、カビが生えやすいので避けましょう。
【海や高原などの紫外線が強い環境】
海沿いや高地では、通常の場所よりも紫外線が強力なので、どうしてもスクリーンの色あせや劣化(カールやキャンバー)が早くなります。ガラス繊維素材やコーティング加工された耐光性を高めたスクリーンを選ぶと安心です。
・昼と夜で変わるロールスクリーンの表情に注意する!
ロールスクリーンは、時間帯や光の当たり方によって表情が変わるのも魅力のひとつですが、思わぬ落とし穴があります。それはスクリーン生地の透過度です。例えば、昼間は明るく開放的に見えても、夜になると室内が透けてしまうことも…。
特に色柄物は、昼間の日差しで色合いが変わったり、柄がぼやけて見えたりすることがあります。カタログの生地見本を見るだけではなく、事前にサンプルなどをもらって、実際の使用環境で「昼と夜の顔」を確認しておくことをおすすめします。
また、タチカワブラインドやトーソー(TOSO)のカタログでは、「室内から室外」「室外から室内」それぞれの透け感の目安がわかりやすく紹介されています。トーソー(TOSO)では、透過度をシミュレーションできるコンテンツも用意されているので、気になる方はお試しください。天候や使用環境、生地の色によって実際の見え方は多少異なりますが、参考にはなると思います。
▼参考リンク
タチカワブラインド ロールスクリーンカタログ ラルクシールドの特徴(生地編)
トーソー ロールスクリーンカタログ スクリーンの透過度
トーソー ロールスクリーン 透過度シミュレーター
柄を楽しむ!ロールスクリーンのデザイン選び
無地のロールスクリーンはシンプルでどんなお部屋にも合わせやすいですが、個性を出したいなら柄物のスクリーンもおすすめです。空間のアクセントになるだけでなく、お部屋に奥行きを与える効果も期待できます。
ただし、柄の大きさやデザインによっては、カタログのイメージと実際の仕上がりが異なることも。カタログに掲載されている参考写真は大きな窓でも、実際に取付けたい窓が小窓やスリット窓なら特に注意が必要です。事前に窓のサイズと柄のバランスを確認しておきましょう。
Q&Aで解決!よくあるロールスクリーンの疑問
使い始めてからのトラブルを未然に防ぐために、ロールスクリーンのよくある質問をQ&A形式でご紹介します。
Q:ロールスクリーンの寿命はどれくらいですか?
素材やサイズ、使用頻度、環境によって大きく異なりますが、一般的には適切なケアと使用環境下で5〜8年程度が目安と言われています。ただ、直射日光が当たる窓や高温多湿の環境では、寿命が短くなる傾向があります。
Q:ロールスクリーンの経年劣化を最小限に抑えるにはどうすればいいですか?
こまめな掃除や、適した環境での使用が劣化を抑える秘訣です。また、日中の過度な直射日光を避けるために、レースカーテンと併用するなど、役割を分担させるのも1つの方法です。
Q: ロールスクリーンは洗えますか?
素材によって異なります。ウォッシャブル生地なら洗濯機での洗濯(漂白剤は不可)が可能です。非ウォッシャブル生地の場合は掃除機やハタキ、柔らかい布でホコリを払ってください。素材によっては、中性洗剤を使用した拭き掃除も可能です。
Q:ロールスクリーンのカビ対策はどうしたらいいですか?
防カビ加工のスクリーンを選ぶのも1つの方法です。カビの発生を防ぐには、部屋の湿度を下げることが大切なので、普段の生活では換気を心掛けて、湿気を取り除くようにしましょう。浴室など水で濡れる場合は、スクリーンを完全に乾かしてから巻き上げるようにしてください。
Q:ロールスクリーンを巻き取る時に斜めになるのはなぜですか?
ブラケットの位置が説明書通りではなく片寄って取り付けていたり、取り付け位置が水平でないことが原因の場合があります。他にも、プルコードタイプの場合なら、斜めに引いて上げ下げするなど誤った操作によって起こることもあります。
Q:賃貸物件でもロールスクリーンを設置できますか?
壁や窓枠に穴を開けてビスで取り付けるタイプの場合、原状回復が必要になることがあります。賃貸物件での設置は、つっぱり式で取り付けるタイプのロールスクリーンを選ぶと安心です。ただし、凹凸があったりザラザラした面には取り付けられない等、取り付け面の条件があるので必ず確認してください。
まとめ
例えば近年、日本の夏は高温多湿になる傾向があり、紫外線も強くなっています。ロールスクリーンを選ぶ際には、これらの環境要因にも配慮することが重要です。遮熱性やUVカット機能が高い素材を選ぶことで、室内温度の上昇を抑え、家具や床の日焼けを防ぐ効果も期待できます。また、防カビや抗菌加工が施されたスクリーンを選ぶことで、高温多湿な環境でも清潔にお使いいただけます。
ロールスクリーンは、おしゃれな空間作りに役立つアイテムです。また、上手に選んで正しく取り付けることで、より長く快適に使用することができます。今回ご紹介したポイントを参考に、窓辺にぴったりのロールスクリーンを見つけることができましたら幸いです。