今ではオフィス、カフェ、病院、家庭の窓際で普通に見られるようになった縦型ブラインド。しかし、家庭用縦型ブラインドは実は少し前まであまり普及していなかったのは、皆さんご存じでしょうか?今回は、この縦型ブラインドの歴史を調べてみましたのでご紹介します。
・ブラインドの歴史
blind(ブラインド)という言葉には「覆い隠すもの。見えなくさせるもの」という意味があり、窓を飾るブラインドには「なにかを見えないように隠す、または見せないようにするもの」という意味合いがあります。今から5000年前、エジプトのファラオ王朝時代に、人目を避けて通風をよくするために、戸口や窓辺に繊維でより合わせた葦を使用したものをぶら下げて使っていました。それを見たペルシャの商人が、葦でできたカーテンを自国で紹介し、形態が様々に変化して、世界中に伝わったと言われています。
その後、イタリアのベニスで最も一般的に使用されている横型ブラインドの原型が生まれました。ベニスは水の都と呼ばれており、100を超える小さな島々から成り立つ都市です。道路がないため、ゴンドラと呼ばれる手漕ぎボートで市内の輸送をになったと言われています。
そのため、ベニスでは上からの太陽光と、水に反射して跳ね返ってくる下からの光を遮る必要があり、上下どちらからの光も遮ることのできる木製のブラインドが大変効果的でした。この横型ブラインドをベネシャンブラインド(ベネチアンブラインド)と呼びます。
・縦型ブラインドの流れ
日本のブラインドの歴史の中で、アルミブラインド・木製ブラインドに比べると、縦型ブラインドの歴史はあまり深くありません。立川ブラインドでは1970年頃に、トーソーでは1982年に「バーチカルブラインド」の発売が開始されたほどです。
タチカワブラインドでは戦後に横型ブラインドの製作を開始され、高度経済成長時に大型ビルでの採用により、ブラインドの需要が高まりました。縦型ブラインドも元々オフィス向けの商品として作られており、羽根(ルーバー、スラット)の素材もガラス繊維を使用したものやアルミニウム合金でできたものなど、耐久性の高さや水拭きできる素材を使用しているかなど、機能性を重視されたものが主流でした。
しかし、住宅の洋風化や多様化により、ブラインドなどの「※メカ物」と呼ばれる窓装飾品が住宅内に使用される機会が増えだし、それに伴い、羽根にファブリック素材を使用したオシャレな縦型ブラインドが発売されるようになりました。今ではファブリック素材を使用した、家庭用縦型ブラインドのラインナップがかなり増えてきています。
※メカ物:ブラインド・ロールスクリーン・プリーツスクリーンなど
・現在の縦型ブラインド
縦型ブラインドの羽根(ルーバー/スラット)の幅は、50mmや127mmなどの幅もありましたが、今は住宅の室内でほどよく幅があり、綺麗に見える80mm(75mm)や100mmのラインナップが主流になってきています。
また、家庭用縦型ブラインドはファブリック素材ながらも「ウォッシャブル」「ミラーレース」「遮光」「省エネ」などの機能性も充実してきており、オフィス向けの縦型ブラインドと変わらない実用性が実現してきました。
なお、人目の多い通りに接した窓などに縦型ブラインドを取り付けた場合、羽根の隙間から部屋の中が見えたりします。その際にプライバシーを保護するため、ドレープ(透けにくい)羽根の間にレースの羽根を付けるタイプなどが新たに出てきており、これまで以上に使い勝手がよくなってきています。
・まとめ
いかがでしたでしょうか?ブラインドは歴史の中で光を取り込みながら調節し、プライバシーを確保するという問題を、研究を重ねながら工夫と改善を繰り返してきました。その結果、現在のように小さな子供がいても安心の操作方法や、細やかに光の量を調節できるようになってきており、これからも様々な研究と改良が行われていくと思います。これからのニーズに合わせたブラインドの改良や進化は、私達の生活に欠かせないインテリアとして、これからも目がはなせないですね。