「朝日がまぶしくて眠れない」「西日が強くて家具が焼けそう」「夜勤明けで真っ暗な部屋が欲しい」──そんな暮らしの課題を解決してくれるのが、「遮光カーテン」や「ロールスクリーン」などの遮光機能を持つウィンドウトリートメントです。
これまで多くの人が遮光カーテンを選ぶ際の判断基準としてきたのが、「遮光等級」という性能指標。ところが今、この遮光等級の中でも最も高性能とされていた“遮光1級”が、さらに5段階に細分化されるという大きな変化がありました。
今回は、遮光等級の基礎から、新しく導入された「遮光1級A++」などの分類の詳細、そして暮らしにどのような影響があるのかまで、わかりやすく徹底解説します。
・NIF(日本インテリアファブリックス協会)とは?
生活に身近なカーテン・カーペット・ブラインド・壁紙などのインテリアファブリックを扱っているメーカーの集まる一般社団法人になります。
国際インテリア見本市「JAPANTEX」を東京ビッグサイトで毎年開催されており、インテリア関係のテキストを編集・販売や、人材育成、流通近代化に関する研究など、業界に係わる事業を推進されています。
その一環として、一定の基準を満たした製品に表示できる機能性表示マーク(遮光マーク、防炎マーク、ウォッシャブルマークなど)の表示を推進しており、消費者が安心して製品を選択できるよう寄与されています。
・遮光等級とは?カーテンやスクリーンの遮光性を数値化する仕組み
遮光等級とは、室内に入る光の量をどれだけ遮るかを「遮光率」という数値で示し、それを等級で区分したものです。日本ではNIF(日本インテリアファブリックス協会)がこの基準を策定しており、機能性表示マークのひとつとして全国的に流通しています。
【従来の遮光等級(3段階)】
等級 | 遮光率 | 体感イメージ |
遮光3級 | 99.40%以上 | 薄暗く、人の顔がはっきり見える程度 |
遮光2級 | 99.80%以上 | 顔の表情が見えるが、やや薄暗い |
遮光1級 | 99.99%以上 | 顔の表情が判別できない暗さ |
このように、遮光等級は数値上ではわずかな違いに見えますが、実際の体感では大きく異なります。特に「遮光1級」となると、寝室をほぼ真っ暗に近づける効果があり、快眠や遮熱・断熱といった機能面で高く評価されてきました。
・遮光1級が進化!新たに5段階に細分化された理由
「遮光1級」は従来、「これ以上暗くはならない」とされてきました。しかし、NIFが行った市場調査によると、遮光1級の中でも製品によって光の漏れ方に微妙な違いがあるという声が多く寄せられたのです。
たとえば、
- 同じ1級でも、朝になるとほんのり明るさを感じるものと、完全に真っ暗になるものがある
- 映画用に完全な暗室を作りたいが、現状の1級では選ぶ基準が足りない
- 子ども部屋には“真っ暗すぎない”1級が欲しい
このようなニーズの多様化を受けて、遮光1級をより正確に選べるようにする新基準が誕生しました。
-
【新基準】遮光1級の5段階分類とは?
新たな分類は、「目視による明るさの感覚(目視度合い)」を基準にしたもので、以下のように分かれます。
※NIF法(特許 第 5437308 号)に基づく
この分類は、視覚の繊細さを考慮して設けられており、「快適な暗さ」へのニーズをより細かく反映できるようになっています。朝スッキリと起きたい方は「1級C」、映画鑑賞用に真っ暗な空間を作りたい方は「1級A++」と、用途や好みに合わせて選べる幅が格段に広がったのです。
-
どう選べばいい?目的別・遮光等級の選び方
実際に遮光カーテンを選ぶとき、「自分にどの遮光等級が合っているのか?」は大きな悩みどころ。以下に、目的別のおすすめ遮光等級をまとめました。
使用場所 | おすすめ遮光等級 | 理由 |
主寝室 | 遮光1級A〜A++ | 快眠環境をつくりたい/朝日で起きたくない |
子ども部屋 | 遮光1級Cまたは2級 | 真っ暗すぎない程度の落ち着いた暗さ |
ホームシアター | 遮光1級A++ | 映像に集中するための完全暗室レベル |
書斎・仕事部屋 | 遮光2〜3級 | 光を適度に調整しつつ、暗くなりすぎない |
リビング | 遮光3級または非遮光+レース併用 | 昼間は明るく、夜はプライバシー重視 |
・まとめ|遮光カーテン選びは「等級表示」が新基準
「遮光カーテン」といえば外からの光を完全に遮ってしまい、暗すぎて朝、目が覚めなかった…というイメージが個人的には強いのですが、遮光2級(遮光率99.80%)~遮光1級(遮光率99.99%)の間の0.19%でも、生地の透け感に大きな違いがあることが上記の画像からもよくわかります。
また、現在は強い日差しを遮って断熱効果、寒い日は外からの冷気を遮って保温効果などの省エネ効果を期待される方や、外からの騒音を遮るために遮光カーテンを使用される方が多数いらっしゃいます。そういった遮光カーテンの需要拡大が、今回の等級分類につながっているようですね。
こうした生活者の多様なニーズに応えるためのアップデート。自分の暮らしに合った“ちょうどいい暗さ”を見つけるために、ぜひ「遮光等級」を上手に活用してみてください。