今年は5月初旬から夏日のような暑い日が出だしており、年々夏の暑さが厳しくなってきているように感じます。そんな時に心配になるのは熱中症です。外出時や運動している時は気にかけて水分補給や塩分摂取などを行い、熱中症対策を行われている方が多いはずです。しかし、実は熱中症の発症が一番多いのは、自宅などの住宅内だというのを皆さんご存じでしょうか?外の気温が高くなるにつれて室温も上昇するけれど、意外に室温が上がっていることに気づかないのが原因だそうです。
LIXILでは、暑さ日本一として知られる埼玉県熊谷市と協働して「室内熱中症予防」に乗りだされています。その一環として「外付日よけ(スタイルシェード)」の設置やセミナーを行い、夏でも快適に過ごせる室内環境づくりに取り組んでいます。このたび、熊谷市で設置された「スタイルシェード」の実証実験結果が公表されましたので、今回はこちらをご紹介いたします。
・スタイルシェードとは?
スタイルシェードとは、窓の外側に取り付けるロールスクリーンです。住まいに入ってくる熱の約70%は窓から入るといわれており、暑い夏場を快適に過ごすためには、窓から侵入する熱エネルギーを軽減することが重要になります。その遮熱対策のひとつとして、スタイルシェードはとても有効です。
カーテンなど室内に取り付ける窓装飾品も、外から入る太陽の熱をカットすることができますが、一時的に窓から光が入った後に光を跳ね返す仕組みになります。しかし、スタイルシェードは窓の外に設置するかたちになるので、窓の外で光を跳ね返してくれ、室内に入る熱の量を大幅にカットしてくれることになるのです。
※画像はニチベイの外付けロールスクリーン「ソヨカ」
・暑さ指数(WBGT)
熱中症を予防することを目的としてアメリカで提案された指標を「暑さ指数(WBGT)」と呼びます。人体の熱収支(人体と外気との熱のやりとり)に影響の大きい「湿度」「日射・輻射(ふくしゃ)」「気温」の3つを取り入れた指標になっています。25℃未満を「注意」、25~28℃を「警戒」、28~31℃を「危険」、31℃以上を「厳重警戒」とする4段階にわかれており、熱中症の危険度を目で見てわかりやすく表示しています。
・熊谷市での実証実験
2019年の7月~9月の期間、熊谷市内のモニター協力宅(24世帯)と無人住宅(1棟)で実証実験が行われました。モニター宅の4ヶ所(屋外・窓際・部屋中央・エアコン)に測定器を設置し、それぞれの温度・湿度・照度・暑さ指数・消費電力を測定。
すると、日よけをしない状態では暑さ指数の「厳重警戒」に当たる28℃を午前中から上回っているお宅があり、エアコンをつけていなければ午前中から熱中症の危険が高い状態になっていました。反対にスタイルシェードを設置した場合、午前中は暑さ指数が比較的に「警戒」に当たる25℃以上~28℃未満を推移する結果に。暑さ指数が「厳重警戒」レベルのお宅を、25%削減することに成功したそうです。
・まとめ
LIXILのスタイルシェード実証実験をご紹介いたしました。最近の住宅では、高断熱な窓を採用していることがあり、一度室内に入った熱が外に逃げにくくなると、窓とカーテンの間に熱がこもりやすくなるそうです。すると、窓の近くにあるエアコンが暑いと判断しやすくなり、逆に部屋を冷やしすぎて、消費電力が多くなるとか。夏の消費電力を抑えたい方には、外付日よけはとてもおすすめな製品ということですね。
年々、日本の夏は暑くなっています。子供は自分の体の熱さに気づきにくく、高齢者はエアコンをつけるのを避けることが多いため、周りの人間が見守らなければ夏の熱中症は、今後必然的に多くなってくるはずです。これからの暮らしを快適にする一つの手段として、外付日よけを考えてみてはいかがでしょうか。