インテリアコーディネートをする際に、「色」の知識は自分の理想の部屋を実現できる大きな手助けになります。前回は「配色の比率」の話をさせていただきましたが、比率を重視しすぎると、室内はまとまっているけれど色数の少ない室内になりがちです。しかし、室内に沢山の色数を使うと全体的な色合いがまとまらず、ちぐはぐな印象を与える部屋に仕上がってしまう…
そんな時は「トーン(色調)」を合わせると、まとまりのある室内に仕上げることができます。今回は「トーン」でカラーをまとめて、コーディネートしたお部屋をご紹介します。
・「トーン」とは?
「色」は〈赤・オレンジ・黄・緑・青・紫〉といった「色相」、色の鮮やかさを表す「彩度」、色の明るさを表す「明度」と呼ばれる3つの要素が合わさってできています。トーンとはこの「明度」と「彩度」を複合した概念で、日本語では色調と呼びます。
「赤」という一つの色をとっても、明るい、暗い、濃い、淡いなど調子の違いがあります。ビビットな赤(純色)に白色を足すと、明るさが増し、淡い赤色に。黒色を足していくと、暗さが増し、落ち着いた赤色になる。このような色の明るさ、鮮やかさの違いをトーン(色調)というのです。
それぞれの「色相」を同じトーン同士で配色をまとめると、明度・彩度が近い色が集まってくるため、調和がしやすくなります。それを利用して、インテリアのカラーコーディネートを同一トーンでまとめると、統一感のあるコーディネートにすることができるのです。
・トーンで見る施工事例
トーンはPCCS(日本色研配色体系)にて、12種のトーングループに分けられています。「低彩度」のペールトーン・ライトグレイッシュトーン・グレイッシュトーン・ダークグレイッシュトーン、「中彩度」のライトトーン・ソフトトーン・ダルトーン・ダークトーン、「高彩度」のブライトトーン・ストロングトーン・ディープトーン、「純色」のビビットトーンがあります。その中から、今回は5つのトーンでまとめられた室内を紹介したいと思います。
※ビビットトーン:純色の色合いの集まりで、明度は中間、彩度が一番高いトーンです。
〈ペールトーン〉
純色(ビビットトーン)の色合いに、白を加えていった、一番明度の高い色の集まりです。やわらかい色合いのペールトーンは、清潔感があり、優しいイメージになります。
〈ライトトーン〉
純色の色合いに白を加えていった、澄んだ調子の明るい色の集まりです。澄んだ色合いのライトトーンは、さわやかで楽しさを感じる明るいイメージを与えます。
〈ストロングトーン〉
純色の色合いに白と黒を加えていった、彩度の下がった調子の色の集まりです。強い色合いのストロングトーンは、動きのある情熱的なイメージを与えます。
〈ダルトーン〉
純色の色合いに白と黒を加えていった、彩度の下がった濁った調子の色の集まりです。グレイがかった、くすんだ色合いのダルトーンは、自然で穏やかなイメージを与えます。
〈ダークトーン〉
純色の色合いに黒を加えていった、澄んだ調子の暗い色の集まりです。暗く深い色合いのダークトーンは、大人っぽく落ち着いたイメージを与えます。
・まとめ
いかがでしたでしょうか?色を一定のトーン(色調)にそろえることで、色数が多い場合でもまとまりのある室内を実現できていることがわかるかと思います。また、インテリアの色数を抑えたいと考えてコーディネートしていても、実際にインテリアを取り揃えてみると、色数は多くなりがちです。そんなときは、色のトーンを揃えてまとまりを出してみましょう。きっと、統一感のある室内に仕上がってくれるのではないでしょうか。